dm-mnbの日記

このブログでは、教育関係のことなどを中心に、調べたことや考えたことなどを書いていこうと思います。

区市町村教育委員会にできることできないこと

教育委員会といっても、各都道府県においては、
都道府県の教育委員会と各区市町村での教育委員会があります。

この2つの役割は、どのように違うのでしょうか?

主に、教員採用試験で過去に問われている部分についてまとめたいと思います。

まず、押さえておきたいのは、「県費負担教職員制度」についてです。

○ 県費負担教職員制度

これは、区市町村立小・中学校の教員についても、

①教職員の給与の負担(1/3 は国庫負担)

②教職員の任命

都道府県教委が行う、という制度です。

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文部科学省: 県費負担教職員制度より)

なぜかというと、(i)財政が安定している都道府県が支出することで、一定水準の給与と教員の質の確保を目指し、(ii)教職員の適正配置と人事交流を図る、のが目的だそうです。

そのため、以下の点に注意が必要です。

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・任命権

市町村立学校の教員は県費負担職員であるため、区市町村教委に任命権はない。(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第37条)
市町村立学校の先生であっても、任命権者は都道府県教育委員会

ex. × 主幹教諭は, 都立高校においては東京都教育委員会が, 区市町村立学校においては区市町村教育委員会が, 職として発令する。
(どちらの場合も都道府県教委)

ただし、人事の任免は、区市町村教委からの内申を待って行う。

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このような構図になっているため、以下の点が試験で問われます。

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・採用・昇任
選考によるものとし、その選考は任命権者である都道府県教育委員会の教育長が行う。

(× 教育公務員特例法では、公立学校の校長の採用並びに教員の採用及び昇任は、選考によるものとし、その選考は、当該学校を設置する地方公共団体の長が行うとされている。(2014過去))


・校長・教員の任命
校長や教員は、教育長の推薦により、都道府県教育委員会が任命する。


教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の校長、園長、教員、事務職員、技術職員その他の職員は、法律に特別の定がある場合を除き、教育長の推薦により、教育委員会が任命する。(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第34条))

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以上、人事に関する事柄は、内申を除いて都道府県教委と覚えておけばよいようです。

なお、自治体の長には、教育委員の任命などの役割があります。

人事以外については、以下のような部分で、区市町村教委の役割があるようです。

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・服務の監督
服務の監督は区市町村教委が行う。

ex.× 政令指定都市を除く区市町村立学校の教員の服務は、任命権者である都道府県教委が監督する。

・休業日
夏季、冬季、学年末、農繁期等における休業日は、区市町村立学校においては
区市町村教育委員会が定める。

・性行不良による出席停止
公立の小•中学校には停学•退学がない。
そのため、性行不良であって他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、
その「保護者」に対して児童の出席停止を命ずることができる。
この主体は、区市町村教育委員会である。

(感染症による出席停止は校長、臨時の休業は学校の設置者(都道府県教委又は区市町村教委))

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日本の制度では、中央集権的に、文部科学省をトップとして、現場の学校まで体系的に構造化されています。

その際、文科省 - 教育委員会 - 現場の学校 の三者の関係で捉えがちですが、

(高校の場合はそれでもいいのですが、)

教育委員会の中でも都道府県教委と区市町村教委の間に微妙な役割の差がある、ということをt押さえておこうと思います。