dm-mnbの日記

このブログでは、教育関係のことなどを中心に、調べたことや考えたことなどを書いていこうと思います。

争点から消えた「教育政策」(2014衆院選)

今年の都知事選に引き続き、衆議院選挙についても、「教育政策」という観点から各党のマニフェストを比較していきます。

その前に、1つ言いたいことを。
都知事選の時もそうでしたが、今回も教育政策は争点化していません。自民党の言うアベノミクスが争点、というのは他の政策への焦点をぼやかすまやかしだとしても、その他によく言及されているのは、安全保障政策(秘密保護法の強行採決の是非、集団的自衛権)、社会保障政策(年金、介護、少子化)、TPP参加の是非、などです。

もちろん、これらの政策が重要なのは言うまでもないのですが、教育政策も語らなければならない重要な政策の1つなのではないでしょうか?
特に自民党安倍政権下では、安全保障などと比べても遜色のないくらい大きな改革が行われようとしています。今からそれをみてみましょう。

本エントリでは、マニフェストのまとめは、エントリの最後に載せます。(少しごちゃごちゃしてるので)

また、初等・中等教育に関係あるもののみ考えます。(大学生の奨学金問題などは含みません)
まずは、各党のマニフェストから、私が気になる政策を抜き出して、コメントしていきたいと思います。

=============================================

自民党

f:id:dm-mnb:20141206191546j:plain

自民党マニフェストには、いいことも書いてあるのですが、容認できないことも書いてあります。

 

〜賛成〜

・開かれた学校づくり(教職員+地域の専門家)

・教育制度の柔軟化:フリースクールや中学夜間部の推進

 

〜反対〜

・カリキュラム改革

・特別の教科「道徳」、日本史必修化

(日本史は大事だと思うが、なぜ世界史ではなく日本史?)

 

他にも、入試制度改革、土曜授業の復活など、意見の別れる政策があります。

全体的にはボリュームもあり、時間をかけて作られている印象です。教育の専門家の意見+個人的なこだわり、で出来上がっている印象です。


公明党

f:id:dm-mnb:20141206191555j:plain

公明党で特徴的なのは、

 

・双方向型・課題解決型授業の推進

 

でしょうか。もちろん、これらの授業も一定の効果があるとは思います。

しかし、授業の形態については、各教員が様々なバリエーションを持ち、
それらを組み合わせて使う、というのが大事なのではないでしょうか。

 

民主党

f:id:dm-mnb:20141206191639j:plain

民主党マニフェストには、少しがっかりしてしまいました。内容が薄く、余り準備ができていないような印象です。

特に取り上げるとすれば、

 

・高校の無償化

・コミュニティ・スクール導入促進

 

でしょうか。これらは実際民主党政権時代に、一部実現したものでもありますし、
今回これに期待して投票しても、裏切られることはなさそうです。


維新の党

f:id:dm-mnb:20141206191718j:plain

最も、財源捻出について明確に示している党だけに、その点については期待も大きいと思います。しかし、教育政策に限っては、

 

・競争原理、教育バウチャー制の導入

教育委員会制度の廃止

・公設民間学校の設置

 

など、教育思想を破壊するような政策が並んでいます。
もちろん、教育予算の増加、など支持できる部分もあります。しかし、このネオリベラリズム維新の党のアイデンティティなのでしょう。

 


このように見てきて、私事ですが、「教員の待遇改善」を主張する党がいなくて、大変残念な気持ちになりました。

今年の6月頃に話題になった、OECDTALIS調査は何だったのか。
「日本の先生は世界一多忙」ではなかったのか。

しかし、これらの疑問に答えてくれる政党が存在しました。


共産党

f:id:dm-mnb:20141206191833j:plain

 

・報告書等書類作成の簡略化

教科書検定制度の改善

・教職員の定数増

・教員免許制度の廃止

 

などなど、ここには挙げられないほどたくさんの政策が述べられています。
「競争から連帯する教育へ」など、維新の党とは真っ向から対立する、清々しい姿勢です。

マニフェスト詳細がHPでみられる)も分厚く、長年1つの問題意識で議論を重ねてきている様子が分かります。


社民党

f:id:dm-mnb:20141206191902j:plain

共産党とひと括りで語られることの多い社民党ですが、マニフェストにはかなりの違いがあります。共産党は厚く、社民党は薄いです。
財源についても、共産党は真摯に向き合う姿勢がありますが、社民党には財源についてほとんど触れられていません。

 

・30人以下学級の実現

 

などは社民党のみ言っていますが、本当に実現できるのか、疑問が残るマニフェストです。


○次世代の党

f:id:dm-mnb:20141206191922j:plain

維新や石原氏のイメージ通りのマニフェストになっています。教育政策についても少なく、

 

・教育バウチャー + 「愛国心」の道徳教育

 

とまとめられます。

 


○生活の党、新党改革

教育政策はありません。
弱小政党は、マニフェスト作りも大変そうです。こういうところでも、大政党と小政党の有利不利が感じられます。

==========================================================


以上、私なりの興味関心で各党の教育政策をまとめました。
都知事選でも、最も魅力的なマニフェストは宇都宮氏のものでした。今回については、共産党です。

私が「競争」に反対なのは、もちろん、私の身分も関係ありますが、心理学実験・研究の成果に基づく理由もあります。それについては、きちんと別エントリでまとめたいと思います。

ただし、どこに投票するかというのは、マニフェストだけでは決まりません。
色々なことを勘案して、投票に備えたいと思います。

最後に、各政党の教育政策まとめの表を載せます。
みなさんの、判断基準になれば幸いです。

 

f:id:dm-mnb:20141206192032p:plain