東京都の学校の種類 構造から見るエンカレッジスクールとチャレンジスクールの違い
東京都立高校には、たくさんの種類の学校があります。
特に今回、エンカレッジスクールとチャレンジスクールの違いについて調べたいと思い、
ついでにその他の種類についても調べてみました。
参考にしたのは、主に東京都教育委員会が出している、「平成25年度東京都立高等学校に入学を希望する皆さんへ」(日本語版)です。
まず、体系的にザッとまとめたのが以下の図です。
図は適宜はしょっているので、正確な情報は先程のリンク先を辿ってください。
特に、全日制のビジネスコミュニケーション科や産業科などは、スペースの都合上反映されていません。
さて、以上が図の注意として、本題のエンカレッジスクールとチャレンジスクールの違いですが、
まず、構造的に違いがあることがわかります。
エンカレッジスクールは全日制の学校ですが、チャレンジスクールは定時制になっています。
チャレンジスクールが含まれる「昼夜間」の定時制というのは、一日を三部制に分けて、自分のペースで学習を進めていける「新たなタイプの定時制高校」として位置づけられています。
(「平成25年度東京都立高等学校に入学を希望する皆さんへ」(日本語版)、5.多様なタイプの学校等の紹介より)
1日に45分授業を4時間受け、3年〜4年かけて卒業するようになっています。
一方エンカレッジスクールでは、30分授業や体験学習の導入など、普通科であるのに特徴的な施策が行われています。
これだけでも、名前はカタカナで似たような印象を受けるけど、全然違うシステムなのだな、と分かります。
次に、導入の時期ですが、Wikipediaによると、チャレンジスクールが導入されたのは、1999年の桐ケ丘高校が最初、エンカレッジスクールは、2003年に足立東高校、秋留台高校で導入されたのが最初のようです。
チャレンジスクールの方が導入は早かったのですね。
最後に、各学校の目的ですが、エンカレッジスクールでは「小・中学校で十分能力を発揮出来なかった生徒の・・・」とありますが、チャレンジスクールでは「小・中学校での不登校や高校での中途退学を経験した生徒など・・・」とあり、チャレンジスクールは中退者の受け皿であることが明確になっています。
以上のように見ていくと、
エンカレッジスクールは、普通科だけれども、意欲がなかったり発達障害があるなど、特別な配慮が必要な生徒の集まる学校、
チャレンジスクールは、一度常道のルートからは外れてしまったけれども、もう一度勉強を普通に一生懸命やり直したい生徒が集まる学校、
だと考えることができます。
大阪府の教育改革では、高校生でも学力に応じて中学校や小学校の復習から始められるようにするとのことですが、東京都ではそれがエンカレッジスクールに対応するのでしょう。
また、一度中退してしまった生徒の受け皿が、都会は充実しているとの話もありますが、それがチャレンジスクールに相当するのでしょう。
エンカレッジスクールの指定後は、中退者が着実に減少する、という効果もあるようです。
しかし、まだまだ将来の可能性が開けている高校生の段階で、自分は小学校レベルから勉強し直すんだ、ということを制度的に明示的に示して良いのでしょうか。
それで高校生の自尊感情は育つのでしょうか。
あと、今回調べた感想は、本当に東京の高校は細分化が進んでいるな、ということでした。
顧客ニーズに合わせた対応なのでしょうか。
これは、本当に、公教育のあるべき姿なのでしょうか。
アカデミアでは、専門領域の細分化が批判されており、教養主義の復活が注目を集めていると思います。
高校の細分化は、この流れに逆らうものなのではないでしょうか?