面白い理科、面白い物理
前回の記事に続き、東京都教員採用試験論作文の出題背景を調べているのですが、知らないことが多くてまだまだまとめきれません。
見切り発車で前回の記事を書いてしまいましたが、もっと別の観点でまとめた方がいいかもと思い始めました。
今日は気分を変えて、「理科が面白い」ことについて考えます。
僕は高校理科の免許を取得予定なのですが、理科の課題として、「いかに生徒に興味を持ってもらえるか」が挙げられます。
2006年のPISA調査でも、科学に対する興味・関心が低い、という結果が出ています。
先日、個別指導で担当する生徒の授業中に、こんな会話がありました。
その時間は国語の時間で、地球環境についての説明文を読んでいました。
「今の地球の大気はどこから来たのか?」がテーマでした。
いくつかの説があったのですが、例えば、宇宙空間にある大気成分が、地球の重力によって引きつけられて出来たという説。
しかしこれは、宇宙と地球の大気の成分の違いから否定されます。
次に、火山から出たガスによって出来たという説。
これは、約36億年前の岩石に当時の大気の痕跡が残っており、よっぽど急速に火山ガスが放出されたのでなければならないとして否定されます。
結局今では、地球形成時の隕石との衝突で、隕石内に蓄えられていた水などの成分が、衝突の衝撃で水蒸気として放出されたのではないかという説が有力だそうです。
そして最後に、植物の誕生によって酸素が放出され、今の成分になった、という話で終わります。
問題となったのは、火山の話になった時。
火山活動は地球のスケールに対して影響が少ないので、火山ガスが短期間で大気を作ったとは考えにくい、という説明が本文にありました。
そこで、「本当かな?火山ってどこにあるか知ってる?」
と発問しました。
日本、アルプス山脈らへん、アメリカにもあるよ、などど答えてくれました。
「じゃあ、なんでそこに出来るか知ってる?」
と聞きました。
もちろん、知らないと答えられないと思うので、プレートテクトニクスの説明、実は、海底にも火山があるんだという説明をしました。
プレートテクトニクスは、マントル対流が原因だという話もしました。
すると、
「地球が回ってるから、対流が起きてるんでしょ?」
と言われたので、
「違うよ、対流は地球が回ってなくても起こるんだよ。」
と言って、実は、層の中の温度差が対流を起こしている話、お湯や味噌汁を温めたときも、対流が起きている話をしました。
そうしたら、
「理科ってつまんねぇな」
と唐突に言われました。
ガーン
頭が真っ白になり、数秒間固まってしまいました。
実は、僕がこの話を初めて聞いたとき(さらには六角形の構造を作る話を聞いたとき)、とても面白いと思ったので、生徒にも話したのでした。
なぜ自分はこの話が面白かったのだろう。
なぜ僕の生徒にとってはつまらなかったのだろう。
平衡状態で定義される熱力学を学んだ後だから、対流の話が自分には面白かったのだろうか。
だとすると、やっぱり学べば学ぶほど勉強は面白くなり、何も知らない状態では、知識を聞くだけではつまらないのだろうか。
例えば、自分が中学生のときにこの話を聞かされたとして、確かに、つまらないと思ったかもしれません。
僕の話が長かったから、飽きちゃったのかもしれません。
この子と会話をしていると自分が学ぶことも多く、毎回の授業が闘いでありながらもとても楽しいです。
勉強は面白いと思ってもらえるように、まだまだ精進が必要です。
でも、理科ってなぜ面白いんだろう?
僕は、現象から自然法則の原理を発見し、その理論から新しい現象が予測され、それが確かめられる、というプロセスが、面白いと感じます。
だから、僕は式をいろいろいじって、その式がどんな現象を意味しているかを考えるのを見せるのが、面白いんじゃないかなぁと思います。
しかし、興味・関心を持たせるためには、実際に物を見せたり、実験をやることが重要だという話を聞きます。
実験は、自分自身はあまり楽しんだ記憶がありません。
やる場合には、しっかり準備して、理論が確かめられた喜びを感じるか、直感に反する現象が見れるような実験をやるべきでしょう。
「理科はなぜ面白いのか」、自分ではまだ答えは出ません。
追記:
「なぜ勉強するのか」「なぜ面白いのか」という問いには、答えは1つに絞れないのだと思います。
だから教員は、WhatやHowの部分、
あれが面白い、これが面白い、このように面白い、...
というのを積み重ね、たくさん提供し、
その中で1つでも生徒のアンテナに引っかかるものがあって、一部分でもいいから「面白い」と思ってもらうことを、目指すべきかなと思います。